地域包括支援センターが出来た背景には、高齢者が施設をたらい回しにされたり、知識不足や責任能力の不足による十分な支援を受けられなかったりする事態が発生しないようにとの理由があります。そのため、厚生省が保健師や社会福祉士、ケアマネージャーなどからなる、地域包括支援センターを各地域に設置し、介護や医療をトータル的に提供できるような窓口にしています。そして、地域包括支援センターは、要介護認定者も介護認定を受けていない高齢者も支援することを目的に、「自助」や「互助」、「共助」、「公助」の四つを柱として、運営を行っているのが特徴です。
たとえば、介護が必要になりそうな高齢者のためには予防プランを立て、要支援1~2の人に対して、自らの力で自らの自立を守る「自助」を促します。それから、自立が難しくなってきた人には、近隣住民や地域の介護職員と連携を取って、安心し暮らせるような「互助」の活動を促します。そして、社会保険などの「共助」や、税金で必要な保障をする「公助」を受けられるように支援を行い、高齢者を中心に、効果的かつ過不足なく福祉サービスを提供する活動を実施しています。
ちなみに、これらの活動内容で最も身近なものを例に上げると、福祉制度を受けていない高齢者を把握し、地域の介護施設に訪問調査を委託するような活動が挙げられます。そして、センターのケアマネージャーがその調査結果を踏まえて、地域の介護の質の向上を目指したり、介護に関わる相談を常時受け付け、高齢者の生活を守っていっていくというものです。地域包括支援センターの活動内容はあまり知られてはいませんが、このように影で福祉活動を支えているのです。